―――星―――

明るく、眩しい光の世界。
そこに1人の少女がいました。
自分の名前を、知らない少女。
この眩しい世界では、誰も少女を見ることが出来ません。
少女は、たしかにそこにいるのに。
また、この世界で他の誰かに出会うこともありませんでした。

ある日、少女は一冊の本を手にします。
その中には、こう書かれていました。
[光の中では、星の輝きは小さなもの。
闇の中にあってこそ、星の輝きは大きくなるだろう。
しかし、忘れる事なかれ。
星は、いつでもそこに在る。]

少女は思いました。
この星も、自分と同じで光の中では見つけてもらえない。
きっと、お友達になれる!

しかし、光の世界で星など見た事も会った事もありません。
もう一度本を読み、思いつきました。
暗い闇の世界ならば、きっと出会える、と。


そう、この時少女は
星を探して、月さえ無い闇夜に迷い込んでしまったのだった。

少女は闇の中、唯進んでいきました。
夜の闇はとても深く、気を抜けば飲み込まれてしまいそうなほど。
けれど、私は決して歩く事をやめなかった。

闇の只中でも消えることの無い、希望。
その希望を、私は信じているの。

きっと、星と出会える。
見つけてあげられる。


長い長い時を、少女は旅しました。
けれど、星を見つけられません。
闇の世界に来て、数多の人を見つけ、見つけてもらえたのに
どうしてか、星と出会うことが出来ません。
疲れてしまって、少女は少し立ち止まりました。
そこで、ふと気付きます。
どうして、光の世界では誰も自分を見つけられず
闇の世界では見つけてもらえたんだろう。
どうして、光の世界では誰とも出会えず
闇の世界では出会えたんだろう。

そこでようやく、一つの答えに辿り着きます。
疑う事もなく、きっと正しいはず。
疲れは消え、少女は再び歩き出します。


その答えを出す為に長い長い旅をした。
だからこそ、彼女は信じていました。

光の無い、常闇の中にありながら
自分を見失わずにいられるのは、きっと―

真っ暗な闇。けれど、少女は信じていました。
自分も星であるということを。


…いつしか、少女はあたりが明るくなっていることに気づきます。
それは少女自身の輝き。
少女の答えは正しいものでした。
答えに辿り着き、儚かった光は強く瞬くまでになりました。
ようやく、自分だけでなく誰かを照らせる本当の【星】になったのです。
やがて少女は闇を照らす星になりました。
全ての愛しき者を包み込む星に……


夜空を見上げて。
真っ暗闇に見えても、私はここにいるよ。
空に少しでも色が見えるなら、私が照らしているから。
不安なんて、私の光でいつだって包んであげる。
だから信じて、君も星なんだよ。
きっと誰かを照らせる、【星】



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